国際ロマンス詐欺・SNS型投資詐欺の被害回復(2)弁護士編

東京弁護士会による国際ロマンス詐欺に関する注意喚起について

東京弁護士会の非弁提携弁護士対策本部が以下の注意喚起をしています。

「国際ロマンス詐欺案件を取り扱う弁護士業務広告の注意点」

「国際ロマンス詐欺案件を取り扱う弁護士業務広告の注意点2」

ご一読になることをお勧めします。

目次

国際ロマンス詐欺の急増

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弁護士が行う被害回復の方法

以下は、被害者の弁護士に対する依頼を、前提としています

以下は、被害者が弁護士に対して各種費用を支払って各種手続を依頼することを、前提としています

弁護士費用や見通しについては、事案や手続によって異なるため、相談時に聞きましょう

弁護士が行う被害回復の方法

振り込め詐欺救済法による取引停止措置と訴訟+差押の併用(可能なら仮差押も)が考えられます

なお、振り込め詐欺救済法とは、正式には「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」と言います

また、振り込め詐欺に限らず「振込利用犯罪行為」(詐欺その他の人の財産を害する罪の犯罪行為であって、財産を得る方法としてその被害を受けた者からの預金口座等への振込みが利用されたもの)において、「振込みの振込先となった預金口座等」やその資金移転先預金口座等も、「犯罪利用預金口座等」として対象になります

振り込め詐欺救済法 Q&A

https://furikomesagi.dic.go.jp/qa.html

大まかな流れ

弁護士の金融機関に対する送金先口座の取引停止措置(口座凍結)の申請

弁護士の金融機関に対する送金先口座の住所氏名や口座残高の照会

(担保金の準備が可能なら、弁護士の裁判所に対する仮差押申立)

弁護士の裁判所に対する訴訟提起・勝訴・差押申立による回収

弁護士の金融機関に対する送金先口座の取引停止措置(口座凍結)の申請

弁護士が金融機関と警察へ「振り込め詐欺等不正請求口座情報提供及び要請書」及び資料を送付して行います

主に必要な資料

  • 銀行の窓口やATMの発行の振込控え
  • PCやスマホの送金画面のスクリーンショット(印刷したものも)
  • (被害者の出金元の口座の通帳)
  • LINE等をやりとりしたスマホ本体
  • LINE等のやりとりのトーク履歴(印刷してもよいが大量になる)
  • (被害者の運転免許証等の本人確認書類や印鑑)

なお、大抵の場合で口座凍結されますが、必ず口座凍結されるわけではありません

また、申請は容易ですが、弁護士自身が口座名義人から苦情連絡、解除要請、損害賠償請求等を受ける可能性もあります

そのため、申請にあたって口座の犯罪利用等の要件を確認する必要があります

実際に弁護士が口座名義人から損害賠償請求訴訟を提起された事例

東京地裁平成24年9月13日判決(判例時報2167号46頁、判例タイムズ1384号212頁等)

「訴外被害者の供述する事実経過や被告(弁護士)が収集した各種資料を総合すると、被告が本件預金口座が犯罪に利用されていると考えるにつき合理的な理由があったというべきであるから、被告が犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律3条1項に基づく措置を講ずるよう訴外銀行に求め同措置を講じさせた行為は違法とはいえない。」

弁護士の金融機関に対する送金先口座の住所氏名や口座残高の照会

被害者の送金先口座からの回収可能金額の上限

弁護士が送金先口座から金銭を回収することができる分は、通常、法律上、被害者からその口座への送金金額が限度となりますし、事実上、その口座の残高が限度となります

例えば、被害者Xが氏名不詳者Aから騙されたことで、被害者XがY1名義口座へ100万円を、被害者XがY2名義口座へ300万円を、それぞれ送金していて(被害総額400万円)、口座凍結時、Y1名義口座の残高が150万円であり、Y2名義口座の残高が10万円だったとします

まず、被害者XがY1へ請求できる金額の限度は100万円(+α)であり、被害者XがY2へ請求できる金額の限度は300万円(+α)であり、各請求金額は被害総額400万円ではありません

次に、実際に被害者XがY1名義口座から回収できる金額の限度は100万円(+α)となり、実際に被害者XがY2名義口座から回収できる金額の限度は10万円となります

口座残高の照会の必要性(費用対効果と口座の絞り込み)

ところで、被害者が、弁護士へ、被害者からより多くの送金先口座名義人への請求(回収)を依頼すればするほど、弁護士費用や実費(訴訟印紙代や郵券、弁護士会照会手数料等)もより多くの金額となります

そのため、費用対効果の観点の下、特に被害者から多くの口座へ送金している場合、被害者が依頼者へどの口座について回収を依頼すべきか、口座を絞り込む必要があります

通常、被害者自身が各口座へいくら振り込んだかは把握しているはずですが、口座凍結時の各送金先口座の具体的な残高は把握していないはずですから、口座照会が必要になります

なお、口座残高については、振り込め詐欺救済法による基づく公告がなされた場合、確認することができます

振り込め詐欺救済法に基づく公告トップページ

https://furikomesagi.dic.go.jp

しかしながら、振り込め詐欺救済法による口座凍結がなされても、必ずしも公告がなされるとは限りませんし、口座凍結から公告まで事案や金融機関によりますが1~3か月間を要することになります

そして、昨今の国際ロマンス詐欺・SNS型投資詐欺の被害の急増により、被害者の送金先口座からの差押等による回収(早い者勝ち)は、激しい競争となっています

したがって、振り込め詐欺救済法による口座凍結を申請したからと言って、公告で残高を確認したうえで依頼や法的手続に進むようでは、回収が間に合わない可能性があります

口座残高の照会方法1・電話照会

簡易な方法は、振り込め詐欺救済法による口座凍結申請の翌日等に、弁護士が金融機関へ電話で照会するというものです

なお、被害者本人ではなく弁護士が金融機関へ電話で照会するのであれば、前提として、被害者が弁護士へ振り込め詐欺救済法による口座凍結申請を有料(例えば、1口座5万5000円等)で依頼する必要があります

また、担当部署は多数の被害者から電話があるようで、電話が混みあっておりなかなか繋がらないときがあります

しかしながら、この方法では、以前と同じように、金融機関によっては弁護士へ具体的な金額を回答してくれることもありますが、最近では比較的多くで回答拒否がなされるようになっています

電話先で、1000円以上か1000円未満か、100万円以上か100万円未満か等、粘りつつ、おおよその金額を聞き出すようにしていますが、最近では一切回答されない場合も増えています

口座残高の照会方法2・弁護士会照会

正当な方法としては、弁護士が弁護士会経由で金融機関へ照会する(弁護士会照会)というものです

弁護士会照会をする場合には、口座残高とともに、口座名義人の住所氏名も照会することが通常です

まず、弁護士会照会については、被害者が弁護士へ弁護士会照会のみを依頼することは禁止されていますので、すくなくとも被害者が弁護士へ口座凍結申請を有料(例えば、1口座5万5000円等)で依頼する必要がありますし、別途、弁護士が弁護士会へ支払う弁護士会照会の手数料として7000円前後かかることになります

次に、弁護士会照会については、申請から回答まで1か月前後かかるというデメリットがあります

また、弁護士会照会であっても、金融機関によっては弁護士会へ口座残高を回答しないことが増えています

そのため、特に口座名義人が法人であり商号から本店所在地等が概ね絞り込める場合には、費用対効果よりも、迅速な手続による回収可能性の増加を優先して、弁護士会照会の回答を待たずに提訴することもありえます

口座残高の照会方法3(補足)・仮差押や差押

仮差押や差押は、回収のために行うものであり、口座残高の照会のために行うものではありませんが、仮差押や差押を行えば、金融機関から弁護士へ口座残高が連絡されるため、残高がわかるはずです

ただ、仮差押や差押は被害者が弁護士へこれらの手続を有料で依頼した後に行うものであるため、費用対効果のための口座の絞り込みという観点で、口座残高の照会方法としては意味が乏しいです

口座名義人の住所氏名の照会

法的手続を行うには口座名義人の住所氏名の特定が必要です

なお、提訴時点に住所氏名不明のままで提訴する方法もないではないです(割愛)

口座名義人が法人であり特徴的な商号であれば、商号から本店所在地等を特定することもある程度可能ですし、商号で数件程度に絞り込んだ後、電話対応等を勘案してさらに絞り込むこともありえます

これに対し、口座名義人が個人であったり、口座名義人が法人であっても一般的な商号であったりすると、絞り込むことが困難になります

そのため、口座名義人の住所氏名の特定には、口座凍結後であっても電話では基本的に回答してもらえませんので、弁護士会照会を行うことになります

通常、口座残高の照会と口座名義人の住所氏名を一緒に、弁護士会照会することになると思います

(担保金の準備が可能なら、弁護士の裁判所に対する仮差押申立)

昨今の国際ロマンス詐欺・SNS型投資詐欺の被害の急増により、被害者の送金先口座からの差押等による回収(早い者勝ち)は、激しい競争となっています

そのため、口座凍結後であっても、送金先口座の残高の全部または一部について、回収できる可能性を上げる方法として、仮差押という方法があります

仮差押とは、差押(区別するために「本差押」ということがあります)と異なり、訴訟を経ずに、いきなり資産を処分できないようにする(預金であれば出金できないようにする)ものです

国際ロマンス詐欺・SNS型投資詐欺であれば、振り込め詐欺救済法によって口座凍結されるわけですから、仮差押をして預金を出金できないようにする意味はないように思われるかもしれません

しかしながら、先に仮差押をしておくことで、他の被害者が送金先口座の残高を差押したとしても、口座残高が仮差押を下者と差押をした者に按分配当されるため、独り占めを防ぐことができます

もっとも、仮差押には相応のコストや一定のリスクがあります

  • 仮差押申立自体を被害者が弁護士へ有料で依頼する必要がある
  • 裁判所に被害者側の主張を一応正しいものと認めてもらう必要がある
  • 高額な担保金を供託する必要がある(担保金の額は被害額の30%程度が多いです)
  • 仮差押だけでは完了せず、訴訟提起や本差押を行う必要がある
  • 通常、担保金は最終的に返還されることが多いが、数か月以上返還されない
  • 口座名義人が所在不明等の場合には、担保金の返還自体にも時間や費用がかかる

なお、担保金の金額を抑える方法として、例えば、実際の被害額が300万円(→担保金90万円程度?)のところを、仮差押における請求額を100万円(→担保金30万円程度?)にする方法もあります(ただし、仮差押後、本差押前に、他の債権者が差押等をした場合、配当における按分は300万円ではなく100万円を基準として計算されます)

仮差押は、弁護士として依頼者のために思う存分に回収を目指せる強力な方法で、可能なら行いたいところです

しかしながら、詐欺被害においては往々にして既に手元にお金がなく(さらには投資詐欺の過程で借金ができている)、弁護士費用と別に高額の担保金を用意することが困難であるほか、最近では悪質な弁護士による依頼者への二次被害も多いなか、弁護士として依頼者へ高額の担保金を預けるように言うことにも躊躇があります

また、通常、担保金は最終的に返還されることが多いものの、返還されるためには、裁判所から口座名義人(法人の場合には法人またはその代表者)へ勝訴判決(または権利行使催告)の送達が必要であり、口座名義人が所在不明(ときには住民票の偽造による架空の人物)のことも多く、返還に所在調査の時間や費用を要することもあります

裁判所が弁護士へ「仮差押はしないのですか」等と言うことがありますが、そう簡単な話ではないのです

弁護士の裁判所に対する訴訟提起・勝訴・差押申立による回収

訴訟提起・口座名義人の住所氏名が判明している場合

原告を被害者として、被告らを口座名義人と銀行として、訴訟提起をします

被害者の口座名義人に対する請求は、送金額に関する不当利得返還請求(または不法行為に基づく損害賠償請求)で、被害者の銀行に対する請求は、債権者代位に基づく請求です

被害者の口座名義人に対する請求は、公示送達になる可能性があり自白の犠牲がなされないため、不当利得返還請求が無難かもしれませんが、不法行為に基づく損害賠償を認めた裁判例も増えつつあります

大半の場合、仮差押をしておらず、被害者の口座名義人に対する請求の訴訟提起だけでは振り込め詐欺救済法の手続が止まらないため、被害者の銀行に対する債権者代位訴訟も提起します(巻き込んで申し訳ないですが)

往々にして、口座名義人が所在不明ですので、現地調査等が必要になります

口座開設関与者の責任を肯定した主な公表裁判例
  • 東京地方裁判所平成28年3月23日判決(判時2318号40頁)
  • 静岡地方裁判所平成17年1月11日判決(判時1893号79頁)
被害者の銀行に対する債権者代位訴訟について

振り込め詐欺救済法に関する裁判例として、直近では東京地判令和2年8月6日・判時2476号30頁以下があり、振り込め詐欺救済法及び裁判例について詳細な解説がなされており、32頁2段目に「なお、犯罪被害者の提起する訴訟としては、口座名義人の払戻請求権を債権者代位権に基づき代位行使する、あるいは、債務名義を得た上で、預金の払戻請求権を差し押さえて、取立訴訟を提起することが考えられよう。」との記述があります

訴訟提起・口座名義人の住所氏名が判明していない場合

この場合も、原告を被害者として、被告らを口座名義人と銀行として、訴訟提起をします

弁護士会照会の結果を待たずに訴訟提起する場合には、口座名義人については、住所に「住所不明」を、氏名に口座名義を、それぞれ記載したうえで、上申書や調査嘱託申立書も一緒に提出します

調査嘱託申立書では、裁判所から銀行へ口座名義人について住所氏名を調査嘱託してもらいたいというもので、念のために上申書に住所氏名未特定の経緯について簡単に書いておくとよいでしょう

そのうえで、調査嘱託回答前に弁護士会照会回答があれば、訴状の訂正申立をして、期日指定をしてもらいます

なお、裁判所から口座名義人へ訴状等の送達が試みられることになりますが、往々にして所在不明で送達できないので、住民票を取得することになります

また、ときには、住民票が取得できない場合があるので(偽造住民票等により架空の住所氏名で口座が開設された可能性)、裁判所が被告たる口座名義人の実在性を云々することがあります

その場合、弁護士は、裁判所へ、金融機関から裁判所や弁護士会への調査嘱託回答や弁護士会照会回答という客観性の高い情報によるものであり、口座名義人の特定は十分であると主張することになります

参考裁判例(東京高判平21・12・25・判タ1329号263頁)

海外先物取引に関して顧客が会社及び従業員らに対して不法行為に基づく損害賠償請求等をしたという事案であり、原告である顧客は、従業員らに関する訴状における被告の特定を、従業員らが顧客へ名乗った氏名と従業員らの(旧)就業場所により行い、公示送達の申立もなされたが、原審が被告の特定を欠くとして訴えを却下したところ、当審は被告の特定を欠くものではないとして原審を取り消したもの

勝訴と差押

国際ロマンス詐欺・SNS型投資詐欺においては、大半の場合、口座名義人は裁判所へ応答しません

そのため、送達には苦労することも多いですが、勝敗については苦労しないことが多いです

そもそも、所在不明や受領拒否のために公示送達(裁判所が裁判所庁舎の掲示板に書類を受け取るよう記載した書面を掲示するだけ)や付郵便送達(裁判所から当事者のポストへ書類を投函する)がなされることとなることも多く、口座名義人は裁判所から書類が届いていることすら気付いていないことも多いからです

なお、そもそも、銀行口座の売買や貸与は犯罪であり(犯罪収益移転防止法違反)、それにもかかわらず口座名義人が何者かへ銀行口座の売買や貸与をしているということは、口座名義人自身が借金等により人生に行き詰っている可能性が高く、訴訟で反論して守るべきものもないのかもしれません

私は口座名義人を庇うつもりは毛頭ないものの、口座名義人も反社等から食い物にされた弱者だろうとは思います

口座名義人が被害者へ請求を争ってきた場合

もっとも、特に通常の投資詐欺では、口座名義人が被害者へ「自分は知人から一時的に頼まれて口座を貸しただけで、知人が被害者へ詐欺をしているとは知らなかったし、知人が口座を詐欺のお金の受取に使用するとは思わなかった」等と反論してくることがあり、勝訴するには意外と苦労します

口座名義人の被害者に対する責任については、道義的にもちろん認められるべきですし、法律上も概ね認められつつありますが、銀行口座の売買や貸与が犯罪である(犯罪収益移転防止法違反)というだけで、当然に口座名義人の投資詐欺被害者に対する不法行為責任を肯定することは、実は簡単ではありません

裁判所としては、被害者の弁護士へ、直接勧誘者が被害者へ詐欺をすることや直接勧誘者が口座を詐欺のお金の受取に使用することについて、口座名義人に故意や過失があったか、主張立証するよう求めてくる(主張立証できないようなら、損害賠償請求を認めない)ことがすくなくありません

なお、若干事案が変わりますが、MLM型投資案件(マルチ型投資詐欺)において、裁判所が、被害者の弁護士へ、直接勧誘者たる代理店の被害者に対する不法行為責任について、無登録営業(金商法違反)だけでは足りず、当該投資案件の架空性に関する直接勧誘者の故意や過失の主張立証を求めるのと同じことです

被害者と口座名義人は面識が全くないこともすくなくないため、被害者が口座名義人の内部事情を知り得ない以上、口座名義人の故意や過失を推認させる事情を入手することは、簡単ではありません

口座名義人が被害者へ請求を争ってきた場合、被害者が口座名義人に勝訴するには意外と苦労しますので、口座残高が僅少であれば、少額での和解、請求の放棄、訴えの取下等も検討します

これに対し、口座名義人が裁判所へ書面を提出して反論してくるということは、口座名義人に一定の収入や資産等の守るべきものがあるものと考えて、あくまで被害者としては勝訴を目指すこともありえなくはないです

勝訴を目指す場合、口座の売買や貸与に関する具体的な時期や方法、理由や対価等の釈明を求めるほか、調査嘱託により送金先口座の送金の直前直後(例えば、直前3年間程度や直後1年間程度)の取引履歴を取得して、お金の流れを分析して、不特定多数の個人から口座への入金等、ウタトリ(疑わしい取引)を主張立証することが考えられます

時間や労力がかかり大変ですが、客観的に突きつけることは、なかなか爽快です

なお、口座名義人がプライバシーや模索的立証である等と反論して、裁判所が調査嘱託に消極的なこともありますが、弁護士としては口座売買等は犯罪であり当然開示されるべきものと主張します

疑わしい取引の参考事例(預金取扱い金融機関)

https://www.fsa.go.jp/str/jirei

ウタトリ(疑わしい取引)の一例

  • 公務員や会社員がその収入に見合わない高額な取引を行う場合。
  • 多額の入出金が頻繁に行われる口座に係る取引。
  • 多数の者に頻繁に送金を行う口座に係る取引。特に、送金を行う直前に多額の入金が行われる場合。
  • 多数の者から頻繁に送金を受ける口座に係る取引。
  • 特に、送金を受けた直後に当該口座から多額の送金又は出金を行う場合。
  • 口座開設時に確認した取引を行う目的、職業又は事業の内容等に照らし、不自然な態様・頻度で行われる取引。

弁護士が行う被害回復のメリット・デメリット

費用がかかる

費用は、事案、やること、弁護士、被害者によって、変わります

口座凍結申請だけでも、一定のリスクがあるので、口座数によって数万円~十数万円かかることはあります

訴訟+差押なのか、仮差押もするのか、等によっても変わってきます

特に仮差押の担保金は高額になりがちです

被害者の手間や労力がかなりすくなくなる

被害者に代わって、弁護士が、金融機関、裁判所、口座名義人、直接勧誘者、加害者等へ、電話、書類作成・書類送付、その他の連絡や手続をします

相談時や正式依頼時等に、被害者は弁護士と面談する必要がありますが、正式依頼後は電話やメールやzoom等の適宜の方法で連絡や打合せをすることも可能です

なお、被害者が周囲の全部へ(または一部にしか)被害を打ち明けられていない場合でも、被害者が弁護士へ被害について話をすることで、精神的な負担が和らぐかもしれません

通常、回収可能性が上がる(もっとも、回収できないこともある)

昨今の国際ロマンス詐欺・SNS型投資詐欺の被害の急増により、被害者の送金先口座からの差押等による回収(早い者勝ち)は、激しい競争となっています

そのため、振り込め詐欺救済法に基づく手続は、被害分配金支払手続に進むことなく、口座残高が他の被害者により回収されて、分配には至らないことも多いようです

被害者が弁護士へ訴訟や差押等の法的手続により回収することを依頼すれば、通常、回収可能性があがります

もっとも、迅速性を重視して口座残高不明のまま法的手続を執ったものの口座残高僅少だったり、費用対効果を重視して口座残高確認後に法的手続を執ったところ既に他の被害者が口座から回収済みだったりすることもありますので、最終的に回収できない可能性も相応にあります

広告規制の関係で具体的な数値を出せませんが、私も依頼者から依頼を受けたうえで、実際に私が口座から回収できたこともあれば、既に残高がなくなっていたこともあります

なお、最終的な費用対効果はやってみなければわかりませんし、回収できたという結果・リザルトが一番ですが、最終的にできるかぎりのことをしたということは、その後の人生で前を向くために必要な過程・プロセスかもしれません

備考・国際ロマンス詐欺・SNS型投資詐欺の被害者の弁護士の選び方

被害者の方が弁護士へ相談や依頼を考えているなら、以下に留意すると良いでしょう

  • 弁護士の事務所において、被害者本人が弁護士へ直接面談して1時間相談する
  • 被害者本人が親族へ被害を明かしているなら、面談は被害者の親族の同席が望ましい
  • 依頼する場合、1回目の相談で費用等も聴いたうえで、2回目の面談とする
  • 遠方等であっても、最低でもzoomで相談してお互い顔の見える状況で相談する
  • 時間が許すのであれば、被害者本人が2~3か所の弁護士と面談する
  • 知人の弁護士がいるなら、その弁護士に詳しそうな弁護士を紹介してもらう
  • 事案に応じた具体的な回収方法・回収対象の提案があるかないか確認する
  • 回収方法等が検討未了の場合、調査検討のみを依頼して、費用を抑制する
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